ドッグラン経営者が定めておくべき利用規約とは
ドッグランは,愛犬を自由に遊ばせたり,運動させたりできる施設です。フェンス等で四方を囲まれたエリアで,安心してノーリードで遊ばせることができます。愛犬がリフレッシュできるだけでなく,他の犬と触れ合うことで社会性を育むことも期待できます。他方でノーリードかつ他の犬や飼い主がいることで,トラブルになることもしばしばあります。
施設運営の観点から,ドッグラン経営においては,利用規約をしっかり作り込んでおくとよいでしょう。
本記事では,トラブルを予防回避できる利用規約のポイントについてペット弁護士が解説していきます。
ドッグランにおける利用規約の意義
ドッグランの利用規約を作ることで,ドッグラン内におけるトラブルを回避する,トラブルが起きたときの運営者及び利用者との間の責任を明確にすることでトラブルの深刻化を防ぐ,といった意義があります。
ドッグランの利用規約にて定めておくべき項目
利用規約に記載しておくべき一般的な内容は概ね以下の通りです。
入場条件
1 一年以内に狂犬病予防接種及び混合ワクチン(5種以上が望ましい)接種済みであること(予防接種証明書の提示をお願いすることもあります)
2 発情期,ヒート,妊娠中でないこと
3 感染症や皮膚病その他病気に罹患していないこと
4 他の犬に過剰に吠えたり,咬みついたり,危害を加えたり他の利用者に恐怖心を与える可能性がないこと
ドッグラン内における注意事項
1 ドッグランに入る際は,場に慣らすため,リードを着用の上,ドッグランを一周してワンちゃんの様子を見ること
2 (サイズごとにエリアを区別している場合は),エリア区別を遵守すること
3 飼い主様の責任において,ワンちゃんから目を離さず,安全確保を行うこと
4 排泄物は,飼い主様が責任をもって持ち帰り,おしっこをしてしまった場合は水をかけるなど,適宜処分頂くこと
5 ドッグラン内における飼い主様同士・ペット同士のトラブルは,飼い主様間において解決頂くこととなり,施設側は一切責任を負わないこと
利用料金・利用時間・エリアの案内
1 利用料金
2 利用時間
3 小型犬,中型犬,大型犬エリア等,犬種やサイズによるエリアの案内
その他免責事項
所持品の破損や紛失,ワンちゃんの怪我や体調不良等,ドッグラン利用に関するトラブル・損害について,運営管理における施設側の過失がある場合を除き,施設側は責任を負いかねること
利用規約以外で気を付けておきたい法的リスクと対応
基本的にドッグラン施設内でのトラブルは,飼い主様同士で解決してもらうことであって,施設管理に問題がなければ,施設側が責任を負うものではありません。
とはいえ,実際には,例えばワンちゃん同士で喧嘩してけがを負わせた,ワンちゃんの排泄物等で飼い主様の服や所有物を汚してしまった等,ワンちゃん同士・飼い主様同士のトラブルが生じた場合,場を収めるために,施設スタッフが対応を余儀なくされることはあり得ます。
施設側としては,他の飼い主やワンちゃんに危害を加える可能性がありそうなワンちゃんや問題がありそうな飼い主様の入場やその後のご利用の管理をしっかり行う(場合によっては入場をお断りする)こと,ワンちゃんが興奮したらすぐさま対応する,柵やネットに問題がないか設備管理をしっかり行う,といった運営体制を整えることが肝要です。
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