口コミが名誉毀損になるケースとは?事実である場合はどうなる?
正当な口コミと名誉毀損の違い
内容が真実でも名誉毀損は成立する
名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる事実を摘示して、不特定または多数の人の目に触れる状態にすることを意味します。
例えば、「この病院の医院長とスタッフのAは不倫関係にある」といった事実が書かれると、それが真実であってもそうでなくても、医院長とAさんの社会的評価は低下するため名誉毀損は成立します。
社会的評価を下げる内容とは
名誉毀損における名誉とは、世間の評価など外部的名誉のことを指し、プライド・自尊心などの名誉感情は含まれません。毀損とは、社会的評価を低下させるおそれのある行為をいい、実際に社会的評価が低下することまでは求められません。
社会的評価を低下させるおそれがあるかは、「一般読者の普通の注意と読み方」を基準に判断されます。犯罪行為や不倫、ハラスメントを行っているという内容は、「一般読者の普通の注意と読み方」を基準にすると、容易に社会的評価の低下が認定されやすいです。
口コミが名誉毀損となるケースとならないケース
まず、その口コミが人の社会的評価を低下させる事実を摘示しているかどうかが重要です。これにあたらなければそもそも名誉毀損にはあたりません。
例えば、「この病院は自分には合わなかった」という単なる意見や感想は、事実を摘示していると評価できないため、名誉毀損にはなりません。
口コミの内容が、事実を摘示しているかどうかも「一般読者の普通の注意と読み方」を基準に判断されます。
また、口コミが人の社会的評価を低下させる事実を摘示している場合でも、違法性阻却事由といって、①公共の利害に関する事実であり、
②専ら公益を図る目的で行われており、
③摘示された事実が真実であるか、
④真実と信じるにつき相当の理由がある場合は名誉毀損が成立しません。
悪質な口コミを放置すると企業が負うリスク
イメージの悪化
口コミは企業のイメージと直結するもの。イメージが悪い企業の商品・サービスを利用したいと思うお客さんはいないでしょう。また、お客さんだけでなく、従業員も自社の口コミは気にするところです。そのため、悪い口コミを放置してしまうと、離職率や採用率にも悪影響を与えるリスクがあります。
売り上げの減少
商品・サービスの利用を検討するに際して、口コミを参考にする方は多いでしょう。そのため、悪い口コミをそのままにしておくと、お客さんが口コミを参考にして利用を避けるようになり、集客が落ち込んでしまうリスクがあります。
悪質な口コミがあった際の対処法
削除請求
サイトの中には、オンラインフォームやメールフォームを準備していたり、クリックするとメールソフトが立ち上がるようになっていたりするものがあります。
これらのフォーム等を利用して削除依頼をすることが、簡易・迅速な方法といえます。
もっとも、削除対象となる記事・投稿はどれか、名誉毀損である理由をサイト管理者にわかりやすく伝えることができなければ、削除に応じてもらえない可能性があります。
また、プロバイダ責任制限法で定められている「送信防止措置」という手続き削除請求を行うことも可能です。プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会の書式による削除依頼(送信防止措置依頼)というものがあり、このガイドラインに従って送信防止措置依頼をすることが多いです。
発信者情報開示請求
口コミを投稿した人に対して、民事上の損害賠償請求や、刑事責任を問うためには、その人の住所・氏名を特定する必要があります。
そのために用いられるのが、プロバイダ責任制限法によって認められている発信者情報開示請求で、名誉毀損などの権利侵害がなされた場合に、プロバイダやサイト管理者に対して開示を求めることができるものです。
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会の書式により請求することもできますが、要件が満たされていないとしてプロバイダに開示してもらえない場合もあるので、その際は裁判所に発信者情報開示の仮処分の申立てや、「発信者情報開示命令」という非訟手続を利用することになります。
訴訟等での対応
発信者情報開示請求で、発信者が特定できた場合、その人に不法行為に基づく損害賠償請求や刑事告訴をして、損害を回復していくことになります。
名誉毀損の口コミが繰り返される場合の対処法
名誉毀損の口コミを放置するのは前述の通り、リスクがあります。
そのため、第一に削除請求を検討すべきでしょう。
ただ、削除できても繰り返し同じような投稿がされてしまうのであれば、発信者情報開示請求により、投稿者を特定して、損害賠償請求等により根本となる原因を排除する必要があるでしょう。
口コミの削除に関するお悩みの方は弁護士法人なかま法律事務所へ
悪質な口コミでお困りの企業様に向けて、弁護士が法的措置等を活用して下記のような対応が可能です。
削除代行を行う事業会社もございますが、口コミに対して対応していきたい方針によって対応できる策も異なります。まずは弁護士にご相談いただき、対応方針を検討することをおすすめします。
削除請求
Google、ヤフー、Twitter、Facebook、5ちゃんねる等に書き込まれたネガティブなクチコミ投稿や、検索エンジンの検索結果などについて、当該サイト運営会社に対して削除を求めることができます。
ウェブサイトによって方法が異なるのですが、それぞれのサイトに適した方法で削除を求めていきます。 サイト運営会社が裁判外で削除に応じてもらえることもありますが、応じてもらえない場合は、削除仮処分という手続を裁判所で行うことになります。
発信者情報開示請求
インターネット上の投稿の多くは匿名で行われているため、投稿した人に対して損害賠償請求等法的責任を追及したいと考えても直ちに請求することはできません。そのような場合、ウェブサイト管理者やプロバイダに対して、発信者情報開示請求という手続きを行うことにより当該投稿をした者(発信者)の氏名・住所等を特定できる場合があります。
その他サポート
【風評被害予防体制構築】
悪質な口コミは一度削除をしても、継続して発生をしてしまうケースが多くあります。クラウドサービス等の連携・提供をしている場合には、サービスを利用して継続して監視を行い、風評被害を予防することも可能です。当事務所の場合は、インターネット上の誹謗中傷・風評被害を検知・分析できるクラウドサービス「ウェブリスククラウド」の活用を行うことで、悪質な口コミを放置することなく迅速に対応することが可能です。
削除が難しい口コミに対するフォロー
ネガティブな内容の口コミであっても、虚偽の記載だということを証明しづらい場合は削除が難しいケースもあります。当事務所ではそのような場合のご相談もお受けしておりますので、削除が難しい口コミに対するフォロー方法もアドバイスいたします。
当事務所での対応実績
当事務所では下記のようなご相談をいただき、削除請求や損害賠償請求の案件対応実績があります。
・動物病院様のGooglemapの誹謗中傷クチコミ削除に成功した事例
・Googleクチコミの投稿者を特定し、当該投稿者と交渉して削除及び賠償金の獲得に成功した事例
・Calooペットの誹謗中傷クチコミ削除に成功した事例
悪質な口コミによる営業妨害でお困りの方は、当事務所までご相談ください。