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【ペットフード安全法解説】ペット弁護士がペットフード販売に関する法規制をまとめました

目次

1 ペットフード安全法とは

2 対象になる「ペットフード」とは

3 規制の概要

4 製造方法等についての基準及び成分についての規格

5 基準又は規格に合わないものの製造等の禁止

6 有害な物質を含む愛がん動物用飼料の製造等の禁止

7 有害な物質を含む愛がん動物用飼料等の廃棄等の命令

8 製造業者等の届出及び帳簿の備付け

9 罰則

10 事業者が留意すべきポイント

11 まとめ

1 ペットフード安全法とは

 愛がん動物用飼料の安全確保を図るため、平成21年6月1日から、農林水産省と環境省の共管で「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が施行されました。

 愛がん動物用飼料(ペットフード)の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物(ペット)の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とする法律です。

2 対象になる「ペットフード」とは

 ペットフード安全法第2条では、「愛がん動物の栄養に供することを目的として使用される物」と定義されています。

 ここでいう「愛がん動物」は犬および猫を言います(法律施行令で指定されています)。

 次に、「栄養に供することを目的として使用される物」とは何かというと、いわゆるペットフードだけでなく、例えば、総合栄養食(主食タイプ)おやつスナックガム生肉サプリメントミネラルウォーターなども含むとされています。ここで特に留意すべきなのは、サプリメントです。ペット用サプリメントで動物用医薬品に含まれないものは、薬機法で定める医薬品に当たらないため、医薬品のような効能・効果に関する表示をすることができません。販促効果を狙いたいばかりに効能を強調してしまうと、薬機法の規制を受けることになりますので、特に注意してください。なお、動物用医薬品は、薬機法の規制対象となっており、ペットフード安全法の規制対象外です。

3 規制の概要

 大きく分けると、以下のような内容になります。

  • 愛がん動物用飼料の製造の方法等についての基準及び成分についての規格
  • その基準又は規格に合わないものの製造等の禁止
  • 有害な物質を含む愛がん動物用飼料の製造等の禁止
  • 有害な物質を含む愛がん動物用飼料等の廃棄等の命令
  • 製造業者等の届出及び帳簿の備付け

 以下、少し詳しく説明していきます。

4 製造方法等についての基準及び成分についての規格

 愛玩動物用飼料(ペットフード)の製造・販売にかかる基準・規格は、法第5条に基づき「愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令」により以下のとおり定められています(以下、①②③は、「平成二十一年農林水産省・環境省令第一号愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令」引用しています)。

成分規格

 以下の物質の含有量は、それぞれ定める量以下でなければならない。

※汚染物質:環境中に存する物質であって、意図せず愛玩動物用飼料中に含まれるものをいう。

※規定する成分の販売用ペットフードにおける含有量を算出するにあたっては、そのペットフードの水分含有量を10%に設定する。

② 製造の方法の基準

 (1)有害な物質を含み、若しくは病原微生物により汚染され、又はこれらの疑いがある原材料を用いてはならない。
 (2)販売用ペットフードを加熱し、又は乾燥するにあっては、微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行うこと。
 (3)プロピレングリコールは、猫用の販売用ペットフードには用いてはならない。

③ 表示の基準

 販売用ペットフードには、次に掲げる事項を表示しなければならない。


  (1)販売用ペットフードの名称(犬用又は猫用)
  (2)原材料名(原則的に添加物を含む全ての原材料を表示)
  (3)賞味期限
  (4)事業者の氏名又は名称及び住所
  (5)原産国名(最終加工工程を完了した国)

④ 表示の留意点

 (1)表示の順序

 ペットフード安全法では、原材料名の 記載順序は特に規定していませんが、 消費者に対する適切な情報提供の観 点からは、原則、多い順に記載することが望ましいでしょう。

 ⑵添加物の記載

 添加物として甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤が使われている場合は、添加物名と用途名の両方の記載が必要です。

 (3)原産国名

 実質的な変更をもたらす最終加工工程を完了した国を原産国として表記することとされています。

5 基準又は規格に合わないものの製造等の禁止

 ペットフード安全法第6条は、法の定めた基準(規格)に合わない愛がん動物用飼料の製造・販売をしてはならないと規定しています。

6 有害な物質を含む愛がん動物用飼料の製造等の禁止

 ペットフード安全法第7条は、①有害な物質を含み、又はその疑いがある愛がん動物用飼料、②病原微生物により汚染され、又はその疑いがある愛がん動物用飼料について、

 国は、製造業者、輸入業者又は販売業者に対し、当該愛がん動物用飼料の製造、輸入又は販売を禁止することができると規定しています。

7 有害な物質を含む愛がん動物用飼料等の廃棄等の命令

 ペットフード安全法第8条は、国が、法で製造販売を禁止する愛がん動物用飼料について、製造業者、輸入業者、販売業者に対して、当該飼料の廃棄または回収その他必要な措置を命じることができる、と規定しています。

8 製造業者等の届出及び帳簿の備付け

 ペットフード安全法第9条は、業者の名称、所在地等の届け出について規定しています。

 ペットフード安全法第10条は、省令で定める事項を記載した帳簿の保存を業者に義務付けています。

9 罰則

 ⑴ペットフード安全法に違反する愛がん動物用飼料を製造、販売、輸入した場合は、一年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金とされています。(18条)。

 ⑵その他、虚偽の届け出をした者等法令違反に対しては、10万円から30万以下の過料もしくは罰金刑が定められています(19条~23条)。

10 事業者が留意すべきポイント

 (1)農水省のHPを定期的にチェックしましょう。

 農水省が、事業者向けにペットフード安全法関連の情報をまとめてくれています。定期的にチェックしましょう。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/

 (2)届出・帳簿に関するマニュアルを遵守しましょう。

 上記農水省HPにもありますが、農水省が発行している「ペットフード安全法 届出や帳簿に関するマニュアル」に沿った届出様式、帳簿の記載・保存をしましょう。

 (3)パッケージや通販サイトの表示を見直しましょう。

 パッケージや製造方法に関しては、下記資料が参考になります。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/petfood/attach/pdf/index-36.pdf

 また、通販サイトの表記については、景品表示法。不正競争防止法、個人情報保護法、特商法その他各種法令に違反しないかチェックしなければなりません。「そういえばちゃんと確認してないな」という事業者様は、お早めに弁護士に相談してみてください。

 (4)業界の自主基準を遵守しよう。

 実際に製品を製造・販売・輸入する(もしくはすでにしている)ため、具体的な表記例を知りたい、細かい基準を知りたいときは、以下の自主基準をチェックしましょう。

 ①ペットフードの表示に関する公正競争規約

https://pffta.org/kiyaku.html

 「ペットフード公正取引協議会」という事業者団体が景品表示法11条に基づき、公正取引委員会及び消費者庁の認定を受けて作成した自主基準です。

 ペットフード安全法で定める表示項目以外に、目的、内容量、給与方法、成分について表示することを定めています。同規約に従うかどうかは、法令とは違い、(特に同団体の非会員にとっては)任意ですが、同規約は景品表示法に基づいて作成されていますから、ペットフードの表示に関する公正競争規約を遵守している限りは、景品表示法違反にならないものとされているため、業界の一般的なルールとして浸透しています。

 ②一般社団法人ペットフード協会が制定した自主基準

 日本でペットフードを製造販売する企業で構成される業界団体「一般社団法人ペットフード協会」が「安全なペットフードの製造に関する実施基準」を制定しています。

https://petfood.or.jp/statistics/manufacture/index.html

 ③一般社団法人日本ペット用品工業会が制定した業界の自主基準

 一般社団法人日本ペット用品工業会が、ペットフードを含むペット用品全般について、「ペット用品統一表示ガイドライン」を制定しています。このガイドラインでは、犬猫に限らず、小動物や小鳥爬虫類向けの日常使用するペット用品についての表示事項を定めています。

11 まとめ

 ペットフード安全法は、ペットフードの製造販売輸入に関する基本的なルールを規定していますが、同法だけでなく、上記で紹介した業界自主基準をしっかり順守する必要があります。特に広告宣伝に関しては、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」を遵守することは事業展開をするうえでマストといえます。

 各種法令の細部にわたり、もれなくチェックして、安心して事業を展開するためには、ペット関係、広告関連法規に詳しい弁護士のアドバイスが必要不可欠です。

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