お知らせ

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獣医業(動物病院)の広告規制の見直し(令和6年4月1日施行改正)について

獣医療広告規制については、以前本HPの下記記事で概要を説明させていただきました。

その後、法改正がありまして、令和6年4月1日から施行されておりますので、本記事でフォローさせていただきます。

広告制限の見直しの趣旨と方向性

飼育者が求める情報が増えている一方で、またSNS等のウェブ広告が普及し、広告手段が多様化しているという現状があります。

そのような社会において、獣医療サービスが正しく理解され、適切に選択できるようにするため、獣医師の専門性の広告を可能とし、獣医療の「広告」では、「問い合わせ先」「通常必要とされる診療内容」「治療等に係る主なリスク、副作用等の事項」「診療費用」を表示することとしました。

まとめると、ざっくり下記のとおりです。

1.認定医・専門医の広告ができるようになりました
2.技能・療法に関する広告ができるようになりました
3.「広告」として規制する範囲が広がりました。

動物病院のホームページに関する広告制限見直しのポイント

概要

改正とは直接関係ありませんが、もう一度。めちゃくちゃ大事なのは、動物病院のHPそのものだけなら「広告」にあたらないということです。

これは、農水省のガイドラインで繰り返し明言されています。

「診療施設等が開設しているホームページでの情報は、原則として広告に該当せず、法17条の制限の対象にならない」(農水省指針1ページ)

「診療施設等ウェブサイトは、飼育者等が当該施設の情報を得る目的でURLを入力し、あるいは検索エンジンを利用して閲覧するものであることから、通常「誘因性」及び「認知性」を有するものではなく、原則として「広告」に該当しない」(同指針5ページ)

「診療施設等ウェブサイトでの情報発信については・・原則として現時点では広告に該当しない」(同指針24ページ)

つまり、動物病院のHPの表記は、獣医療に関する広告制限の規制の対象外、ということです。なので、経歴や専門性、診療内容、愛玩動物看護師に関する訴求ももちろんOKです。

例えば、広告するにしても、広告の見出しや説明文には動物病院名/獣医師名を書かず、それ以外の情報は制約なく自由に記述しても「特定性」が無くなるので獣医療広告の範囲外なので、問題ありません。ただし、リンク先のHPでは、動物病院名・療法・価格上下限・リスクを全て記載しておくことが望ましいです。

さらに具体的に言えば、「〇〇なら△△駅徒歩□分の当院へ!」といった広告文で広告を出稿し、リンク先では、上記情報を詳細に記載するのはOKということになります。ここで、広告にあたるかどうかの判断基準をもう一度説明しておくと、以下の通りです。

誘因性、特定性、認知性の三要件を満たすものは広告制限の対象となる

誘因性:飼育者を誘引する意図があると受け止められる
特定性:特定の動物病院であることがわかる
認知性:見たくなくても目に入ってくる

注意事項

動物病院のHP自体が広告ではないとしても、当該HPについてバナー広告やリスティング広告を運用したり、YouTubeやSNSで不特定多数の人に拡散する場合は「認知性」の要件を満たし広告にあたり、規制対象となります。

また、獣医療広告ガイドラインでは、診療施設等ウェブサイトは、広告規制の対象にならないとしても、獣医療の安全対策の一環として、飼育者等への正確な情報発信を図るため、以下のような表記は厳に慎むべきとされています。

・虚偽誇大な内容
・他の診療施設と比較するもの
・景表法、薬機法日に違反するもの
・獣医師としての品位や道徳を損ねるもの

改正により記載できるようになった項目

1.獣医師の役職履歴、専門性(「認定医」等。大臣指定団体によるもの)

「農林水産大臣が指定する者が行う獣医師の専門性に関する認定を受けていること」について、指定基準に基づき、申請のあった団体等について、獣医事審議会の意見を参考に指定を行うとのことです。

2.診療行為・診療内容全般

問い合わせ先、通常必要とされる診療の内容、診療に係る主なリスク、副作用の事項、費用を併記することで、たとえば以下のような表記が可能です。

例)歯石除去、画像診断、○○手術、レーザー療法、治療時間(去勢手術○○分etc)、去勢・避妊手術、予防注射を行っているイラストや写真等々

なかま法律事務所でできるサポート

なかま法律事務所では、動物病院に特化した顧問サービスを提供しており、獣医療広告ガイドラインだけでなく、薬機法、景品表示法など関係法令を遵守したHPや広告表記ができているかどうかチェックし、適法な表現の提案もさせて頂いております。

お困りの際にはお気軽にご相談ください。

顧問誘導バナー画像

*参考資料

◆獣医療広告ガイドライン
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/attach/pdf/law-16.pdf

◆獣医療広告制限の見直しについて
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/attach/pdf/koukoku-4.pdf

◆獣医療広告ガイドラインに関するQ&A
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/attach/pdf/koukoku-1.pdf

*本記事の内容は、農水省指針及び獣医療広告ガイドラインに関するQ&Aの記載に基本的に基づいていますが、これら資料に基づく弁護士中間の私見も含まれます。そのため、動物病院の院長様・広告担当者におかれましては、ウェブサイトの表記にお悩みの際は、弊所にお問い合わせいただくとともに、各都道府県の行政担当部署にお問い合わせください。

(東京の場合)
東京都産業労働局農林水産部
食料安全課 動物薬事衛生担当
03-5320-4845

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