風評被害による損害賠償請求は可能?弁護士が解説
法人や企業が風評被害を受けた時のリスク
売上の減少
風評被害とは、根拠のない噂や憶測などから経済的な損失を被ることを言います。
商品・サービスの利用を検討するに際して、ネット上の口コミや記事などを参考にする方は多いでしょう。そのため、根拠のない噂や憶測が書かれた口コミやネット記事をそのままにしておくと、お客さんがそれを参考にして利用を避けるようになり、集客が落ち込んでしまうリスクがあります。
取引先や世間に対するイメージダウン
口コミやネット記事は企業のイメージと直結するもの。風評被害を放置しておくと、取引先や世間がその口コミなどを信じたり、疑いを持ったりしてしまい、企業のイメージダウンとなってしまいます。
採用活動がしにくくなる
従業員も自社の評価は気にするところです。そのため、風評被害を放置してしまうと、採用率や離職率にも悪影響を与えるリスクがあります。
風評被害に対する損害賠償請求が可能な条件
違法性
まず、風評被害を生じさせている口コミなどが、不法行為(民法709条。権利や利益に対する違法な侵害行為)に該当する必要があります。信用毀損罪(刑法第233条)、偽計業務妨害罪(刑法第233条)、名誉毀損罪(刑法第230条1項)などは、まさに不法行為といえるでしょう。
経済的損失の立証
損害賠償請求においては、不法行為により損害を被ったことを立証する必要があります。
売り上げの減少などいくらの損害が発生しているのか、その損害は風評被害により生じたものなのか(損害と風評被害との間に因果関係があるのか)、証拠に基づいて立証しなければなりません。
立証に備えて、風評被害を受けた場合は、その口コミや記事のURLとスクリーンショットを保存しておきましょう。
風評被害を生じさせた人の特定
訴訟で損害賠償請求をするためには、訴状に被告となる加害者の氏名・住所を記載する必要があります。口コミやネット記事で投稿者の本名や住所が明らかになっていることはほとんどないので、風評被害を行った人の氏名・住所を調べる必要があります。
風評被害による損害賠償請求をする手順
証拠集め
前述のとおり、風評被害について立証する必要があるので、風評被害を生じさせている口コミやネット記事のURLとスクリーンショットを保存しましょう。
加害者の特定
口コミ等の投稿により風評被害を生じさせた人の氏名・住所を調べるために、その投稿者が利用したプロバイダを特定し、プロバイダに対して氏名・住所の開示請求をする必要があります。
プロバイダを特定するには、投稿者のIPアドレスが必要です。そこで、加害者が口コミ等を投稿したサイトに対し、IPアドレスの開示請求をしていくことになります。
プロバイダやサイト管理者に対する、IPアドレスや氏名・住所の開示を求めることを発信者情報開示請求といいます。
加害者に対して損害賠償請求を行う
発信者情報開示請求等により、加害者を特定できたら、風評被害を生じさせている投稿が不法行為であるとして、損害賠償請求の交渉や訴訟提起をすることになります。
風評被害に遭わないための予防策
危機管理体制の整備
風評被害が生じた場合や発生しそうな場合に、対応が遅れてしまうと、被害が拡大してしまう可能性があります。
問題のある口コミ等を発見した場合、誰に報告すべきなのか、どのように意思決定していくべきなのか、あらかじめ危機管理体制を整備しておくことで、迅速な対応をすることができます。
従業員の教育
従業員から風評被害が発生するリスクがあります。
従業員としての行動のあり方や、SNSの使い方など、風評被害につながるような行動を取らないよう、従業員を教育しましょう。
風評被害のリスクは雇用形態にかかわらず発生するものなので、正社員であるか、アルバイトであるかにかわらず、従業員全員に対し、研修を行って教育していく必要があります。
モニタリング
自社に関するインターネット上の投稿をモニタリングすることで、問題になりそうな投稿を早期に察知して対応することができます。
自社でモニタリングを定期的に行うことが難しければ、モニタリングツールを利用することも考えられます。
風評被害でお悩みの方は弁護士法人なかま法律事務所へ
風評被害でお悩みの企業様に向けて、弁護士が法的措置等を活用して下記のような対応が可能です。
削除代行を行う事業会社もございますが、口コミに対して対応していきたい方針によって対応できる策も異なります。まずは弁護士にご相談いただき、対応方針を検討することをおすすめします。
削除請求
Google、ヤフー、X(旧Twitter)、Facebook、5ちゃんねる等に書き込まれたネガティブなクチコミ投稿や、検索エンジンの検索結果などについて、当該サイト運営会社に対して削除を求めることができます。
ウェブサイトによって方法が異なるのですが、それぞれのサイトに適した方法で削除を求めていきます。 サイト運営会社が裁判外で削除に応じてもらえることもありますが、応じてもらえない場合は、削除仮処分という手続を裁判所で行うことになります。
発信者情報開示請求
インターネット上の投稿の多くは匿名で行われているため、投稿した人に対して損害賠償請求等法的責任を追及したいと考えても直ちに請求することはできません。そのような場合、ウェブサイト管理者やプロバイダに対して、発信者情報開示請求という手続きを行うことにより当該投稿をした者(発信者)の氏名・住所等を特定できる場合があります。
その他サポート
風評被害予防体制構築
悪質な口コミは一度削除をしても、継続して発生をしてしまうケースが多くあります。クラウドサービス等の連携・提供をしている場合には、サービスを利用して継続して監視を行い、風評被害を予防することも可能です。当事務所の場合は、インターネット上の誹謗中傷・風評被害を検知・分析できるクラウドサービス「ウェブリスククラウド」の活用を行うことで、悪質な口コミを放置することなく迅速に対応することが可能です。
削除が難しい口コミに対するフォロー
ネガティブな内容の口コミであっても、虚偽の記載だということを証明しづらい場合は削除が難しいケースもあります。当事務所ではそのような場合のご相談もお受けしておりますので、削除が難しい口コミに対するフォロー方法もアドバイスいたします。
当事務所での対応実績
当事務所では下記のようなご相談をいただき、削除請求や損害賠償請求の案件対応実績があります。
・動物病院様のGooglemapの誹謗中傷クチコミ削除に成功した事例
・Googleクチコミの投稿者を特定し、当該投稿者と交渉して削除及び賠償金の獲得に成功した事例
・Calooペットの誹謗中傷クチコミ削除に成功した事例
風評被害でお困りの方は、当事務所までご相談ください。