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【弁護士解説】トリミングサロンの利用規約同意作成の注意点

目次

1 トリミング契約の法的性質

2 店舗側が利用規約や同意書をつくる意味

3 利用規約・同意書を作る際の注意点

4 最後に

1 トリミング契約の法的性質

 この記事をお読みいただいている方は,ご自身でペットを飼っていらっしゃる方が多いかと思いますので,一度はトリミングを利用したことはあるかと思います。

 実は(というか当然),トリミングをトリミングサロンに依頼することも契約の一種です。

 民法上は,「請負契約」(民法632条)ということになります。

 民法では,請負契約について「当事者の一方がある仕事を完成することを約し,相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約することによって,その効力を生ずる」と規定されています。

 つまり,飼主が,愛犬(猫)のトリミングを依頼し,トリミングサロンが,トリミングを完了することを約束し,飼主が,トリミングをしたことに対して,サロンに対し料金を支払うことを契約しているわけですね。

 言い方を変えると,トリミングサロンは,トリミングを「完成」させる義務を負い,「完成」して初めて料金をもらえることになります。

2 店舗側が利用規約や同意書をつくる意味

 ⑴ リスク回避(軽減)

ア 言った言わないトラブルを回避できる

 合意内容を書面化するメリットは、水掛け論的な「言った言わない」のトラブルを回避できることにあります。

イ 不当な金銭要求,返金要求を拒否できる

 飼い主様からトリミングサロンに対する請求にどのようなものがあるか,については,弊所HP記事をご参照ください。

 例えば,事前に特段要望がなかったにも関わらず,「仕上がりが思っていたのと違ったので返金してほしい」と言われたり,お預かりしていた間は何事もなかったのに「おうちに帰ってきたら怪我をしていた。お金を返してほしい」と言われてしまったり,店舗側に非がなくてもこういったトラブルが起きることがあります。

 店舗側に非がなければ,いわゆる「クレーム」と言われる不当要求と言える話なので,当然拒否すべきなのですが,トリミング依頼を受ける時点で,ペットの健康状態や施術内容について,利用規約及び同意書に明記して,書面で確認を取ることで,「そのような要望はなかった」「預かっているうちは何もなかった」と毅然とした対応を取ることができます。

契約内容を書面化することはトラブル予防の基本であり極めて重要です。

ウ 賠償リスクを「一定程度」コントロールできる

 事業を営む以上,お客様とのトラブルの可能性をゼロにすることはできません。どれだけ丁寧に気を付けてトリミングをしていても,思いがけず,ペットを傷つけてしまったり,お預かりしている最中に体調を崩してしまったり,することは避けられません。

 そのような場合,店舗側が利用料金の返金或いはペットの治療費を賠償する義務が生じる可能性があります。

 利用規約又は同意書において,店舗側がどのような場合に賠償義務を負うのかを具体化する,さらには,賠償する場合の上限額などを明記することで,店舗側は賠償リスクを予測することができますし,金額の上限を適切な形で規定することでリスクをコントロールすることもできるのです。

 利用規約又は同意書は,リスクを軽減しコントロールできる,経営上とても有益なツールと言えるでしょう。

 ⑵ お客様との信頼関係,友好的な関係性を構築できる

 無用なトラブルを回避するとともに,飼主としても「ちゃんとした書面を作ってくれる=安心して任せられるちゃんとしたサロン」という認識を持っていただけます。利用規約(同意書)を作成することで,間接的ではありますが,お客様との友好的な関係性を構築でき,リピーターも獲得しやすくなるなど,営業上のメリットも期待できます。

3 利用規約・同意書を作る際の注意点

(1) 広すぎる免責規定は無効になる可能性が高い

 消費者契約法という法律の第8条で以下のように定められています。

次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
1 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項
2 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者 の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項

 要するに、軽過失の場合であっても、故意・重過失ある場合であっても全てを免責するような規定は無効になり、法律どおりの責任を負うという意味です。

 条項が無効になってしまいますから、リスクコントロールとしての意味を持たなくなります。

 免責規定の定め方は特に留意しましょう。基本的に「軽過失の場合のみ」、責任を「一部」制限する程度で規定することになります。他方、過失がない不可抗力の場合、法的には当然責任を負いませんので、上記消費者契約法に違反するかどうかは問題になりません。その旨、確認的に規定することは可能です。

例)
① 当店の過失により、トリミング中に発生したケガについて上限40万円まで補填します。
② 当店の不可抗力による怪我、逃亡、死亡は、一切責任を負いません。

(2) 詳しすぎても、飼主さんの印象が悪くなる

 みなさん日常の生活で、豆粒みたいな字が両面びっちり書いてある利用規約を目にしたことがありませんか。弁護士である私でも、「いちいち見てられないよ」「読ませないつもりでわざとちっちゃい字で書いてるんじゃないの?」とか思ってしまいます。

 トラブル回避のために作る利用規約ですから、飼主さんに理解してもらわないと意味がありません。

 かといって、短すぎると、リスク回避のために必要な事項をカバーできなくなります。

 長すぎず、短すぎず、読みやすいフォントにするなど「読んでもらう工夫」をしましょう。

(3) ネットに転がっている利用規約や同意書はアテにならない

 インターネットで探してたまたま見つけたものをなんとなく使ってます、という経営者の方、いらっしゃいませんでしょうか。

 もし自分がそうだな、と思ったら、すぐに、利用規約(同意書)の内容を見直しましょう。自分ではよくわからないと思ったら、弁護士に相談しましょう。

 基本的にインターネットに落ちている無料で手に入るようなものは、文言がおかしかったり、あなたのサロンには当てはまらないような内容であったりするものです。

4 最後に

  

 ここまで利用規約同意作成の際の注意点についてご説明しました。

 利用規約の作成やチェックは弁護士に依頼することがオススメです。

 専門の弁護士は法律の内容を踏まえて作成できるだけではなく、経験によりどのようなトラブルが起こりうるかを予測してその対策を講じることもできます。専門家により作成やチェックすることで店舗側としてもより安心でしょう。

 当事務所では、利用規約の作成・チェックを含めた顧問契約でのトータルサポートもさせて頂いております。ぜひペット法務に特化している顧問弁護士の活用をご検討ください。

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