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【10月1日施行ステマ規制対応】ペット用品の広告表記で気を付けなければならない法規制とは?

先月,ペット用品に関する薬機法違反の疑いで逮捕者が出たというニュースがありました。

gooニュース 「「サプリで犬や猫に筋肉がつく」無承認でペットサプリ販売か会社役員の男逮捕」

報道によると,この件は,「「免疫機能を正常化させることでアレルギー症状が緩和」「アトピーやアレルギーの改善にオリゴ糖がサポート力を発揮します」などと「医薬品」に相当する効能や効果を謳ったことで薬機法違反で摘発されたとのことです。

このように,ペット用品であっても,攻めすぎた広告表現は違法になります。

ペット用品の定義

一般ペット用品

一般に「ペット用品」といった場合,下記に示すペットフードの他,リードや首輪,おもちゃ等のグッズから,サプリメントやお薬といった動物用医薬品,動物用医薬部外品など,幅広いジャンルがあります。

ペット用品は,そのジャンルによって,様々な法規制があるのですが,本コラムでは「広告規制」に絞ってペット事業者が気を付けなければならないポイントを解説していきます。

ペットフード

ペットフードは,総合栄養食(主食タイプ),一般食(おかずタイプ),おやつ,ガム,スナック,生肉,サプリメント等々様々なものが市場に出回っています。ペットの健康を保護するため,ペットの「栄養に供することを目的とする」ものは,ペットフード安全法の規制対象となります。

ペットフード安全法の概要については,下記別コラムで解説させて頂いております。興味のある方は下記リンクからご一読ください。

ペット用品の広告表示内容における法規制

ペット用品の広告規制を考える際は,①動物用医薬品等,②ペットフード,③一般ペット用品の3つにわけて考えると整理がしやすくなります。ペットフード安全法,景品表示法,薬機法等が関連してきます。

そもそも「広告(表示)」とは

景品表示法では,「表示とは,顧客を誘引するための手段として,事業者が自己の供給する商品または役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって,内閣総理大臣が指定するものをいう」(2条4項)と定義づけられており,これを受けて,定義告示2条において,具体的に商品の容器又は包装の表示,看板,雑誌,ホームページ等の表示を列挙しています。

要するに,事業者が売っている商品又は役務に関して,消費者の目に触れるものは全て「表示」であって,その内容については,法律の規制がかりますよ,というふうにご理解頂ければ概ね間違いないかと思います。

また,ここでいう「事業者」は法人・個人を問いませんので,個人事業者であっても,規制を遵守しなければなりません。

①動物用医薬品等の場合

薬機法の規制については,下記コラムで解説させて頂いております。詳細は下記リンクからご参照ください。

②ペットフード

ペットフードの中には,「療法食」といって,特定の疾病または健康状態にある犬猫の食事療法に利用することを目的としたものがあります。栄養特性等が通常のフードと異なっており,獣医師の診断・指導に基づく給餌が想定されています。パッケージ等の表記については,ペットフード安全法,景品表示法に基づくペットフードの表示に関する規則を遵守しなければならないこと,薬機法の規制により,医薬品的な効能効果を標榜する表現ができないことは,通常のペットフードと同様です。

③一般ペット用品

フードや医薬品・医薬部外品以外のペット用品については,例えばペット用シャンプーや雑貨関係については,当然ながらペットフード安全法の規制はかかりませんが,シャンプー等であれば,動物用医薬品等に該当しないように,つまり,医薬品的な効能・効果を標榜しないような表記に留意する必要があります。

令和5年10月1日施行のステマ規制のポイント

詳細は上記の記事にて解説していますが、要するに,事業者の商品やサービスの広告なのに,あたかもインスタグラマーやインフルエンサーが「勝手にフォロワーにお勧めしているだけ」の体で広告していたら,事業者を取り締まりますよ,という規制です。

今まで,ステマが,「事業者の表示」と言えないとか景表法の規制対象である優良誤認表示や有利誤認表示を伴わない,といった理由で規制ができない事例があったことから,広告主体を偽るステマ表示を規制するために法改正がされました。

具体的には,下記二つの表示を規制対象としています。

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」

「事業者が自己の供給する商品または役務の取引について行う表示であって,一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について

ポイントは以下の通りです。

1 規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主),つまりインフルエンサーやインスタグラマーに,広告宣伝の依頼をする事業者です。

⇒投稿内容の決定に事業者が関与している場合は,インフルエンサー等第三者の表示であっても,事業者が規制対象となります。

2 ステマかどうかは,「一般消費者が当該広告を見て,事業者の表示と認識できるかどうか」を表示内容全体から見て判断されます

3 ステマ規制にあたる具体例

 ・アフィリエイト広告で事業者の表示を記載していない場合

 ・ショート動画等で,一般消費者が認識できないほど短い時間で,事業者の表示である旨表示する場合

 ・事業者の表示が,小さい,色が薄い,場所がわかりにくい等,一般消費者が認識しにくい場合

 ・インスタグラムの投稿で,大量のハッシュタグに紛れ込ませて「#PR」「#案件」「#○○(事業者名)などと記載して、広告であることがぱっと見わからないケース

広告表現で注意したいポイントと具体例

NG表記(農水省「ペットフード等における医薬品的な表示より)

・○○病の治療に。○○病の改善に。○○病に。

・呼吸器の機能を高め、慢性的な咳や喘息、呼吸が困難な場合の症状を和らげる

・関節疾患に苦しむ動物のために○○

・○○病の予防。○○病対策に

・病気・老化予防に・歯周病疾患を軽減防止する○○

(ペットフードの食事療法に関する表現)

・リン含有量を制限することで○○疾患の進行の遅延をサポートします(理由:疾病の予防・治療を標ぼう)

・本製品は皮膚疾患の回復補助に考慮して○○(成分名)及び抗活性酸素物質を配合しています(理由:疾病の治療を標ぼう)

・バランスのとれた栄養で赤血球の生成をサポート(理由:身体の機能に対する具体的作用を標ぼう)

OK表記

・○○(特定部位名)への○○(成分名)の補給

・○○(特定部位名)への○○(成分名)の補給による健康維持

・○○(成分名)を補給することによる○○(特定部位名)の健康維持

※広告規制に抵触するかどうかは,当該広告の全体から判断されますので,上記文言を使えば直ちに適法,というわけではありません。ご注意ください。

ペット用品の広告に関してお悩みの方は弁護士法人なかま法律事務所へ

インターネット通販が普及していく中で、広告活動をされている非常に増えており、競争が激化しています。競合よりも売れるように、インパクトのある表現にしたいところですが、それらを取り締まる法規制があり、違反すればペナルティが課せられることもあります。

したがって、これから出稿する広告だけでなく、既に使用している広告の表現も含めて各種広告規制に違反していないか確認することが必要になります。

弊所はペット法務に特化しておりますので、獣医療法・景表法等の広告審査規制のチェックを数多く対応して参りました。適切な広告表現を行い、安心して集客活動が行える体制づくりのサポートをさせていただきますので、お困り事がございましたらお気軽にご相談ください。

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