お知らせ

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ペットフード・ペット用サプリメントと薬機法規制

目次

1 はじめに

2 薬機法が定義する「医薬品」とは

3 農水省が示す動物用医薬品に該当するかどうかの判断基準について

4 まとめ

1 はじめに

 前回,ペットフード安全法について解説いたしましたが(前回の記事はこちら),動物用医薬品は,ペットフード安全法ではなく,「医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下,「薬機法」と言います)の規制対象となります。

 そこで,本記事では,動物医薬品に該当するペットフードやサプリメント製造販売に関連した薬機法の規制について,解説していきます。

2 薬機法が定義する「医薬品」とは

 薬機法2条1項2号及び3号において,以下のように定義されています。

 2号

 「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具等でないも の」

 3号

 「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの」

(注)便宜上,条文上の括弧書きは省略しています。

 すなわち,

 ①動物の疾病の診断,治療,予防のために使うもの,

 ②動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすものは,動物用医薬品に該当し,薬機法の規制対象となります。

3 農水省が示す動物用医薬品に該当するかどうかの判断基準について

⑴ 概要

 近年、多種多様なペットフードやペット用サプリメント等と称するものの販売等がなされているところ,動物用サプリメントを製造販売する事業者様において,また一般消費者にとっても,上記法律の定義だけで,当該商品が薬機法の規制を受けるかどうか,正しく判断することは極めて困難です。そのため,農林水産省が「動物用医薬品等の範囲に関する基準」を示しています。具体的には,

 「動物に経口的に給与する物が、薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品又は同条第2項に規定する医薬部外品であって、専ら動物のために使用されることが目的とされているもの(以下「動物用医薬品等」という。)に該当するか否かは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的、効能効果、用法用量等並びに販売の際の演述等を総合的に判断して、通常人が同条第1項第2号又は第3号若しくは同条第2項に掲げる目的を有するものであるという認識を得るかどうかによって判断する」としています。

⑵ 「19消安第14721号平成20年4月11日農水省通知」・「25消安第2679号平成25年9月11日農水省通知『ペットフード等における医薬品的な表示について』

 さらに,農水省では,事業者が薬機法の適用該当性を判断するするための参考として,上記通知において,

 「その物の容器、包装、添付文書又はチラシ、パンフレット、刊行物、インターネット等の広告宣伝物若しくは演述によって、次のような効能効果が表示説明されている場合は、医薬品的な効能効果を標ぼうしているものとみなす。また、名称、含有成分、製法、起源等の記載説明においてこれと同様な効能効果を標ぼうし又は暗示するものも同様とする。」

 と述べ,以下のような具体例を示しています。

 ア 主に、動物の疾病の治療に使用されることが目的と判断される表示
(例)○○病の治療に。○○病の改善に。○○病に。

 イ  主に、動物の疾病の予防に使用されることが目的と判断される表示
(例)○○病の予防。○○病対策に。

 ウ ウ  主に、動物の身体の構造に影響を及ぼすことが目的と判断される表示
(例)○○○の成分は、最新の医療研究の成果として開発された製薬段階にまで達したものであります。関節を保護、強化するために最も効果を発揮します

エ  主に、動物の身体の機能に影響を及ぼすことが目的と判断される表示
(例)ストレスを減らし、免疫性と、有用なホルモンの増加をもたらします。

オ  医薬品であることを暗示させる表示
(例)○○の漢方薬剤をベースに開発されました。

カ  新聞、雑誌等の記事、獣医師、学者等の談話、学説、経験談等を引用又は掲載することにより医薬品であることを暗示させる表示
(例)飼育者の経験談「○○を与えたところ、体調も良くなり今も元気です。」

 このほか,「栄養補給」を標榜する商品については,「特定部位の改善、増強等を標ぼうしない場合には、特定部位への栄養補給を標ぼうすることについて直ちに医薬品的な効能効果とは判断しないこととする」とされています。

 その他,「免疫」「歯垢歯石」「毛玉」「アレルギー」「サポート」等,一般的にペットフードやサプリメントの広告,製品パッケージで使用される表現について,医薬品的な効能効果を標榜するものか否か,すなわち薬機法の適用を受ける表現かどうか,について具体例が示されております。

 詳細は,以下のリンクをご確認ください。上記で記載した表示例以外の表現について多数記載されておりますので,ペットフード又はサプリメントを製造販売される事業者様はご一読いただくことをお勧めします。

https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/y_import/

4 まとめ

 今回お伝えしたいことをまとめると,以下の通りです。

 ⑴ ①動物の疾病の診断,治療,予防に使うもの,②動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすものは,動物用医薬品に該当し,薬機法の規制対象になる。

 ⑵ 上記①②の判断は,原材料,パッケージ形状,パッケージに表示された使用目的、効能効果、用法用量等並びに販売方法等を総合的に判断して、通常人の見方で判断される。

 ⑶ 事業者は,製造販売をする前に,必ず,農水省通知に示された具体例をチェックする。

5 最後に

 

 薬機法に限らず,法規制は年々改正があったり,新しい省令も頻繁に出されます。薬機法違反の場合,課徴金といって極めて多額のペナルティが課されることがあります。

 ですので,事業者としては,最新の法規制に適応していかなければなりませんが,タイムリーに法改正をキャッチアップすることは困難です。そのため,御社の業態,業種及び関連する法規制に精通した弁護士にいつでも気軽に相談できる体勢を整えておくことが重要と言えるでしょう。

 顧問契約を通じて法改正への適応を含めてトータルサポートが可能ですので、詳細を知りたい方はこちら顧問契約をご確認ください。

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